GR blog

2013/1/1

Social Leader Vol.1 三浦さんから「逆境や変化との向かい合い方」を学んだ/南三陸わかめ漁師:三浦保文さん

新春第1弾として、ついに、インタビューが始まります。

GRがブログを立ち上げた主旨の一つなのですが、当ページで「GRが社会に紹介したい方々」を取り上げさせていただきたいと思います。震災だから、漁業だからではなく、リーダーとしてアントレプレナーとしての普遍的な何かを学ばせていただいたように思います。
先の震災で被災され、数々の逆境に対しても、持ち前の論理力と行動力で、大森わかめ生産組合を引っ張っられ、志津川漁協全体にも波及するぐらい、大きな成果をあげられた「人生に対するご姿勢」から、われわれ漁師ではない立場の人間にとっても共通して大切な何かを感じました。

※編集の都合上、実際にお話いただいた際の文体から変わってしまっておりますが、内容は伺った時のお話に基づいて編集したものです。

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<GR>「三浦さん、今日はよろしくお願いします。まず、自己紹介といいますか、現在のわかめ漁に至るまでの経緯を教えていただけますか?」

昭和26年、南三陸町生まれです。
父はマグロ船の船長で、地元の志津川高校卒業時、私は役場での就職も考えましたが、長男ということもあって、父と共にマグロ船に乗りました。12年続けましたが、200海里漁業水域が設定されたことで、域外(日本国外)でのマグロ漁が禁止されたこともあって、仕事が続けられなくなりました。

船主さんの投資の下、父と共にその頃 勃興期であった「銀ザケ・ます」の養殖を始めました。始めた当初は、爆発的な収益となったのですが、18年やっている間に、チリ・ノルウェーなどの海外にも養殖方法を指導したりしていたら、価格競争に巻き込まれたり、不漁の年に販売チャネルを海外に奪われたりしました。年々厳しい採算となったため、そこで再び、「わかめ」の養殖と「釣り船屋」に商売を鞍替えしました。

<GR>「大きな転換を何度かご経験されているのですね。三陸わかめは、現在、素晴らしいブランドとして確立しているわけですが、そんな折に今回の大津波があったのですね。」

我が家の集落は高台にあって地震の後は、集落のみんなで海が見えるうちの前の畑に集まっていました。当初はまさかここまでと思いましたが、ふと港に到達しつつある波を見ると、水門に匹敵する高さがあるのが分かりました。瞬時に水門が隠れる高さ(約10m強)ということから、今いる場所の危険性に気付き、集落のみんなで慌ててさらに上へと逃げました。90歳になる母の手を引いて避難する時、我が家のほうからバリバリバリとすごい音が聞こえてきましたけれど、とても振り返る気になれませんでした。先ほど話した商売もそうですし、チリ地震の際も我が家は被害を受けているので、その時は「あぁ、またやり直しか。オラの人生は、こんなことの繰り返しだなぁ」と思ったのを覚えています。

<GR>「日常生活を送られていた自宅を破壊される、それは、私たちからは簡単に察すことのできない厳しいご心中であったかと思います。でも、震災直後から、わかめ漁のリーダーとして、常に、周囲を先じて実行されるご姿勢はお見事でした。三浦さんと初めてお会いしたのは、震災の年の11月でした。当初、他の漁業はもちろんのこと、わかめ漁でも他の地域の復旧目処が立たない中、70%の復旧を目指されているんだとお話しされていたのを覚えています。実際、その年の収穫はいかがだったでしょうか?」

はい、現在、南三陸町の漁業全体の水揚げ量は、通常の3割から5割程度と苦戦をしておりますが、皆さんのご支援のおかげで、ことわかめ漁に関しては、金額にして昨年実績で通常の150%を達成しました。

<GR>「驚(!?)」

これは、供給減を見越して買い取り価格が高値で推移しつつも、例年並みの生産量を実現できたことが大きいです。
先に話した銀ザケ養殖の時は、この地域が不漁の時、一気に販路を外国や他の地域に持っていかれてしまったのですが、供給に穴を開けなかったため、南三陸としての販売チャネルを守れたことも大きいでしょうね。

<GR>「現在の状況を少し伺えますか?」

昨年は、買い取り価格の高騰もあって非常に事業としてはうまくいったけれども、今年も、例年並みの収穫を予想してはいるものの、この先を見越して、水産庁が整備した復興支援事業「がんばる漁業」を積極活用しようと考えております。これは、グループ単位で申し込んで、自分達で得た収入を一旦国に預けるけれども、備品代やかかった経費や、例年の実績に基づきながら、売り上げではなく給料という形で、国からいただけるという制度です。昨年は昨年、今年は今年で、この機会に、将来に繋がるべく、土台をしっかりとさせていきたいと思います。

<GR>「先を見越した決断ということですね。考えてみれば、震災前から、漁師の高齢化や、激化する国際競争の中での非効率性などが問題になっていました。」

例えば、ノルウェーとか外国なんかだと、国の指導でみんながまとまって技術革新なんかをしていくのですけれども、日本の漁師はずっと個人でやってきた人が多いものだから、なかなかみんなでまとまって何かを決めるというのが苦手だったりします。

水産庁の「がんばる漁業」事業を見ても、国は個人よりもグループ単位での支援を進めているのがはっきり見えました。世代交代にしても、個人ではなく、その漁場でのグループ単位で譲り合いができると考えれば、悪い話ではないでしょう。なにより、国際競争が激しくなってきた今、リーダーは年功序列じゃやっていけなくなってきた。私自身、漁師でリーダーになる人は、本屋に行って、「ビジネス書でも読め」と言っているし、月刊誌で養殖に関する最新情報が分かる業界誌まであるのですよ。

「漁協同志で競争しながら、他の漁協よりも早く有利な状態を作れるかどうか」、震災を契機にそんな雰囲気が明確になってきたのは大変だけど、技術革新のスピードアップや資源の効率活用を考えれば、必ずしも悪いだけの話ではないと思っております。

<GR>「これからさらに、志津川漁業、三浦さんはますます、進化を遂げられそうですね。これからも、人生の荒波を三浦さんがどう乗り越えていかれるのか、学ばせていただきたいと重います。ぜひ、今後ともよろしくお願い致します。本日は、ありがとうございました。

【写真】12月に芦田が伺うと、わかめの種付けは完了。今は、カキの収穫真っ盛りでした。今回、自分は参加できなかったけど、ボランティアの方々も収穫作業で活躍されていました。

<参考資料>
わかめ漁
http://united-earth.jp/minamisanriku/2012/03/post-222.html
東芝さんの新人研修
http://www.toshiba.co.jp/csr/jp/highlight/2012/revival02.htm
水産庁 頑張る漁業
http://www.jfa.maff.go.jp/j/budget/23_hosei/pdf/set2-1_2.pdf
http://www.jf-net.ne.jp/fpo/gyoumu/hojyojigyo/08hukkou/kyotu_file/20111128_1gyogyo_tebiki.pdf

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